離婚後の子の養育に関する民法等の改正について

更新日:2026年08月14日

 令和8年4月1日から、民法等の一部を改正する法律が施行されました。
 この法律では、こどもの養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流などに関する民法などの規定を見直しています。

親の責務

 父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されました。

<こどもの人格の尊重>
 こどもが心も体も健全に発達していけるように育てる責任を指します。こどもの意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。

<こどもの扶養>
 こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。

<父母間の人格尊重・協力義務>
 こどもの利益のために親同士がお互いを尊重して協力し合わなければなりません。
 そのため、下記のようなことは、この義務に違反することがあります。
例:暴行や暴言など、相手を怖がらせるような言動、濫訴等
  他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
  特段の理由なく、他方の親に無断でこどもの住む場所を変えること
  特段の理由なく約束した親子の交流の実施を拒むこと
注)DVや虐待から避難するために住む場所を変える場合などはこの義務に違反しません。

 また、父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、親権者の指定または変更の審判、親権喪失または親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

親権に関するルールの見直し

 父母の離婚後、1人だけが親権を持つ単独親権のほかに、父母2人ともが親権を持つ共同親権の選択ができるようになりました。

<協議離婚の場合>
 父母の協議により、共同親権にするか単独親権にするかを決めることができます。

<協議が調わない場合>
 家庭裁判所が、こどもの利益の観点から、共同親権にするか単独親権にするかを定めます。
 次の場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
例:虐待のおそれがあると認められるとき
  DVのおそれやその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
注)虐待やDVは身体的なものに限りません。
注)こどもの利益のため必要がある場合には、家庭裁判所がこども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。

<父母2人ともが親権を持つ共同親権の場合>
 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことが難しいときは、他方が行います。
 こどもの住む場所や将来の進学先、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理など、大事なことは父母2人で話し合って決めることになります。
 また、監護教育に関する日常の行為をするときや、こどもの利益のため急迫の事情があるときは父母のどちらかが親権を行使することができます。

監護教育に関する日常の行為をするとき
例:食事や服装の決定、短期間の旅行、こどもの習い事、予防接種など
こどもの利益のため急迫の事情があるとき
例:DVや虐待からの避難、こどもに緊急の医療行為をする必要がある場合など

養育費の支払い確保に向けた見直し

<取決めの実効性の向上>
 養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、父母が文書で養育費の取決めをしていれば、支払が滞った場合にその文書をもって一方の親の財産を差押えるための申立てができます。

<法定養育費の新設>
 離婚時に養育費の取決めがなくても、取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人当たり月額2万円の養育費を請求できます。この制度は、令和8年4月1日以降に離婚した方が対象となります。
注)この制度は養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものであり、父母間で取り決めるべき養育費の標準を定める趣旨のものではありません。

<裁判手続きの利便性の向上>
 手続きをスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができます。
 また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する一回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差押えに関する手続きを行うことができます。

安心・安全な親子交流の実現に向けた見直し

<親子交流の試行的実施>
 家庭裁判所での手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。
 家庭裁判所はこどもの利益を最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。

<婚姻中別居の場合の親子の交流>
 父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に父母の協議で決め、決まらないときは家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。

<父母以外の親族とこどもの交流>
 こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどもの利益のために必要がある場合は、家庭裁判所はこどもが父母以外の親族との交流を行えるよう定めることができます。

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