○土庄町用地事務取扱要領

平成11年10月1日

訓令第13号

(目的)

第1条 土庄町の公共事業の施行に必要な土地等の取得等及びこれに伴う補償に関する事務については、法令その他に特別の定めがあるもののほか、この要領の定めるところによって処理することとし、もって用地事務の適正かつ円滑な運営を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この要領において「土地等」とは、土地、権利(土地収用法(昭和26年法律第219号。以下「法」という。)第5条に掲げる権利及び社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益をいう。以下同じ。)、法第6条に掲げる立木、建物その他土地に定着する物件及び法第7条に掲げる土石砂れきをいう。

2 この要領において「土地等の取得等」とは、前項に掲げる土地、土地に定着する物件及び土石砂れきの取得又は使用並びに同項に掲げる権利の消滅又は制限をいう。

3 この要領において「土地等の権利者等」とは、土地等の取得等に係る土地等に関して権利を有する者、第1項に掲げる土石砂れきの属する土地に関して権利を有する者及び当該土地、当該権利の目的となっている土地又は当該土石砂れきの属する土地にある物件に関して権利を有する者並びに一般補償基準第60条から第62条までに規定する補償を受けるべき者をいう。

4 この要領において「一般補償基準」とは、「公共用地の取得に伴う損失補償基準(昭和37年10月12日用地対策連絡会理事会決定)」を準用し、「公共補償基準」とは、「公共事業の施行に伴う公共補償基準(昭和42年2月21日閣議決定)」を準用する。

5 この要領において「用地事務」とは、公共事業の施行に必要な土地等の取得等及びこれに伴う補償に関する事務をいう。

6 この要領において、「課長」とは、担当課長をいう。

(用地事務の計画的処理)

第3条 課長は、公共事業の施行に当たっては、土地等の取得等のための十分な期間を置くよう配慮し、計画的に用地事務を処理しなければならない。

(用地事務処理状況等の報告)

第4条 課長は、毎月の土地等の取得等の進捗状況について、町長に報告しなければならない。

2 課長は、毎会計年度における土地等の取得等に関する実績について、町長に報告しなければならない。

(帳簿等の調製)

第5条 課長は、土地等の取得等に係る契約の締結状況及び補償金の支払状況について記載した帳簿等を調製しなければならない。

(指導及び検査)

第6条 課長は、担当課における用地事務の適正な処理について指導するものとする。

2 課長は、必要に応じて、担当課の用地事務の処理状況を検査することができる。

(用地取得が完了しない土地における工事の禁止)

第7条 課長は、土地等の取得等が完了していない土地においては、工事を行ってはならない。ただし、次の各号のすべてに該当し、かつ、第10条の規定による土地調書及び物件調書の確認を終えている場合であって、当該土地に関して権原を有する者から書面により起工の承諾を得たときはこの限りでない。

(1) 緊急に工事を施行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき。

(2) 当該年度内に当該土地に係る土地等の権利者の全員と適正な補償額で土地等の取得等に関する契約を締結することができると認められるとき。

(地元の協力確保の措置)

第8条 課長は、土地等の取得等を行おうとするときは、あらかじめ、土地等の所在する自治会の長並びに土地等の権利者及び附近地の住民に対して、説明会を開催する等の方法により、工事の目的、内容その他必要と認められる事項を周知し、当該工事及び当該土地等の取得等においてこれらの者の協力が得られるよう努めなければならない。

(測量又は調査)

第9条 課長は、土地等の取得等を行おうとするときは、必要な測量又は調査を行い、土地等の権利者の氏名及び住所、土地の所在、地番、地目及び面積、権利の種類及び内容、物件の種類及び数量並びに土石砂れきの種類及び数量その他損失の補償にあたって必要な事項をできる限り正確に把握しなければならない。

2 課長は、前項の規定により土地又は工作物に立ち入って測量又は調査を行おうとするときは、あらかじめ、当該土地又は工作物の占有者に通知し、その承諾を得るとともに、当該測量又は調査について土地等の権利者等の協力が得られるように努めなければならない。

3 課長は、第1項の規定により測量又は調査をするにあたっては、土地等の権利者、利害関係を有する隣接地の権利者その他当該土地等に関し知識を有する者の立会いを求めなければならない。ただし、立会いを求める必要がないことが明らかである者又はやむを得ない理由により立会いを求めることができない者についてはこの限りでない。

4 課長は、第1項の規定により土地の測量をする場合においては、残地を含め、その分筆線を明らかにして実測平面図を作成し、その土地に建物その他の主要な工があるときは、その位置及び規模を当該実測平面図に表示しなければならない。

5 課長は、第1項の規定により調査する主要な物件について、その現況を把握することができるように写真撮影をしなければならない。

(書の作成及び確認)

第10条 課長は、法の定める手続により土地調書及び物件調書を作成する場合を除き、前条第1に規定する調査に基づき、遅滞なく、土地所有者ごとの土地調書及び所有者ごとの物件調書を作成し、これらの調書に係る土地等の権利者の確認を求め、これらの調書にこれらの者の署名を求めなければならない。

2 前項に規定する土地調書には、取得又は使用に係る土地について次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 土地の所在、地番、土地登記簿の記載に係る地目及び現況地目、土地登記簿の記載に係る面積及び取得し、又は使用しようとする土地の実測面積並びに土地所有者の氏名及び住所

(2) 所有権以外の権利を有する者がある場合においては、当該権利の種類及び内容並びに当該権利者の氏名及び住所

(3) 調書を作成した年月日

(4) その他必要と認められる事項

3 第1項に規定する物件調書には、取得又は使用に係る土地にある物件について次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 物件がある土地の所在、地番並びに土地登記簿の記載に係る地目及び現況地目

(2) 物件の種類及び数量並びにその所有者の氏名及び住所

(3) 所有権以外の権利を有する者がある場合においては、当該権利の種類及び内容並びに当該権利者の氏名及び住所

(4) 調書を作成した年月日

(5) その他必要と認められる事項

(補償額の算定の原則)

第11条 土地等の取得等に係る補償額は、一般補償基準及び公共補償基準に基づき、適正に算定しなければならない。

(基準事項の承認等)

第12条 課長は、土地等の取得等に係る補償額を算定しようとするときは、あらかじめ、次の各号に掲げる事項について、町長の承認を受けなければならない。ただし、別に定めるものについては、この限りでない。

(1) 土地の評価のための同一状況地域の区分及び標準地の評価格

(2) 建物の移転工法及び関連移転(一般補償基準第28条第1項後段に該当する建物の移転をいう。)の範囲

2 課長は、土地等の取得等に係る補償額を算定しようとするときは、あらかじめ、次の各号に掲げる事項について、町長に協議しなければならない。

(1) 一般補償基準第20条の規定による漁業権等の消滅に係る補償に関する事項

(2) 一般補償基準第27条の規定による漁業権等の制限に係る補償に関する事項

(3) 一般補償基準第50条から第52条までの規定による漁業廃止、漁業休止及び漁業の経営規模縮小の補償に関する事項

(4) 補償内容が異例に属すると認めるもの、又は補償の範囲若しくは補償額の算定方法に疑義がある補償に関する事項

(補償額の決定)

第13条 課長は、前条第1項各号に掲げる事項について町長の承認を受け、若しくは決定した後又は前条第2項各号に掲げる事項について協議を行った後は、遅滞なく、補償額を算定し、これを決定しなければならない。ただし、別に定めるものにあっては、補償額の決定に先立ち町長に協議するものとする。

(用地交渉)

第14条 課長は、土地等の取得等に伴う補償に関して土地等の権利者等と行う交渉(以下「用地交渉」という。)に当たっては、誠意をもって行い、すみやかに適正な補償額で妥結するように努めなければならない。

(用地交渉の時期)

第15条 課長は、第12条第1項、第2項各号に掲げる事項に関しては、町長の承認を受け、又は決定した後でなければ、用地交渉を行ってはならない。

2 課長は、土地等の権利者等ごとの補償額に関しては、第13条の規定により補償額を決定した後でなければ、用地交渉を行ってはならない。

(補償額の提示)

第16条 課長は、土地等の権利者等に対し、原則として、書面により補償額を提示しなければならない。

(用地交渉の記録)

第17条 課長は、必要と認めるときは、用地交渉の経過等を記録しておかなければならない。

(契約の締結)

第18条 課長は、用地交渉が妥結した土地等の権利者等について遅滞なく契約書を作成し、土地等の権利者等の署名押印を求めるとともに、必要があると認めるときは、印鑑証明書を提出させなければならない。

(支払条件の明示)

第19条 課長は、前条の規定により契約書を作成する場合においては、当該契約に係る、土地等に関して権利を有する者で、別途土地等の取得等に関する契約をしなければならない者の全員と契約の締結を終えた後でなければ、補償金の支払をしない旨の条件を当該契約書に明示しなければならない。ただし、借家人又は借間人が契約の相手方である場合等であって、当該条件を明示する必要がないと認められるときは、この限りでない。

2 課長は、前条の規定により作成する契約書が土地の取得を目的とする契約書であって、当該契約に係る土地に質権、抵当権又は先取特権が設定されており、かつ、当該権利が登記されている場合においては、当該権利が抹消され、又は当該登記の権利者の当該登記を抹消することを承諾する旨を証する書面が提出されなければ、補償金の支払をしない旨の条件を当該契約書に明示しなければならない。

(登記)

第20条 課長は、第18条の規定により契約を締結した場合において、所有権移転の登記をする必要があるときは、遅滞なく、当該契約の相手方に不動産登記法(明治32年法律第24号)による登記の嘱託に必要な書類の提出を求め、当該書類の提出があったときは、所有権以外の権利の登記、仮登記、差押え又は仮差押えの登記その他の登記の抹消後、遅滞なく、所有権移転の登記を登記所に嘱託しなければならない。

(契約履行の確保)

第21条 課長は、第18条の規定により契約を締結した相手方(以下「契約の相手方」という。)が当該契約に定められた履行期限までに当該契約の内容となっている義務の履行を完了しない場合においては、当該義務の履行を催告するとともに、当該義務の履行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

(契約履行の確認)

第22条 課長は、契約の相手方が当該契約の内容となっている義務の履行を完了したことを確認しなければならない。

(補償金の支払)

第23条 課長は、契約の相手方から補償金の支払請求があったときは、前条に規定する確認のほか、第19条の規定による条件を明示した契約については当該条件が満たされたことを、第20条の規定による所有権移転の登記を必要とする契約については登記済証の還付を受けたことを、それぞれ確認して補償金を支払わなければならない。ただし、土庄町会計規則(昭和45年土庄町規則第10号)第38条の規定により補償金の前金払をする場合においては、第19条の規定による条件を明示した契約については当該条件が満たされたことを、第20条の規定による所有権移転の登記を必要とする契約については登記の嘱託に必要な書類の提出があったことを、それぞれ確認して支払うものとする。

2 前項ただし書の規定による前金払の額は、補償額の7割以内とする。

第24条 課長は、補償金を支払う場合には、契約の相手方に支払わなければならない。ただし、契約の相手方から補償金の支払の請求及び受領に関する権限の委任を受けた者(以下「代理受領者」という。)が、当該補償金の金額を明示した委任状を添えて支払の請求をした場合においては、当該代理受領者に支払うことができる。

(収用等の手続)

第25条 課長は、用地交渉を妥結することができないと認められる場合で、法に規定する手続を行うことが必要と認めたときは、当該手続を行うものとする。ただし、次の各号に掲げる手続を行う必要があると認める場合には、当該手続に必要な書類を添えて、町長に上申しなければならない。

(1) 法第15条の2の規定によるあっ旋の申請

(2) 法第18条の規定による事業認定申請書の提出

(3) 法第19条の規定による事業認定申請書の欠陥の補正

(4) 法第30条の規定による事業の廃止又は変更の届出

(5) 法第32条の規定による手続の保留の申立書の提出

(6) 法第34条の規定による手続開始の申立て

(7) 法第39条第1項の規定による収用又は使用の裁決の申請

(8) 法第47条の3第1項の規定による明渡裁決の申立て

(9) 法第50条第2項の規定による和解調書の作成の申請

(10) 法第94条第2項の規定による損失の補償の裁決の申請

(11) 法第102条の2の規定による土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転の代行及び代執行の請求

(12) 法第116条の規定による協議の確認の申請

(13) 法第123条の規定による緊急に施行する必要がある事業のための土地の使用の申立て

(14) その他必要と認める手続

(土地等の寄附)

第26条 課長は、取得しようとする土地等の所有者から当該土地等の寄附の申込みがあり、これを寄附により取得することが適当と認める場合には、寄附申込書に必要な書類を添付して、町長に副申しなければならない。

2 課長は、寄附を受納する旨の通知を受けたときは、遅滞なく、寄附申込者から必要な書類を徹し、土地等の取得に必要な手続を行わなければならない。

(法令等に係る手続)

第27条 課長は、土地等の取得等に関して、法以外の法令その他に特別な定めがある場合には、当該法令等に基づき必要な手続を行わなければならない。

(取得した土地等の管理)

第28条 課長は、土地等の取得等が完了した場合には、遅滞なく、取得した土地とこれに隣接する土地との境界を明示するため、境界杭又は必要に応じてかき、さくその他の工作物を設置する等の措置を講ずることにより、取得した土地を適正に管理しなければならない。

2 課長は、取得した土地については、不法に占有又は使用されることのないよう厳重に管理しなければならない。

3 課長は、取得した土地を不法に占有する者がある場合においては、遅滞なく、書面をもって土地の明渡しを催告するとともに、土地保全のために必要な措置を講じなければならない。

この要領は、平成11年10月1日から施行する。

(平成22年3月24日訓令第3号)

この訓令は、公表の日から施行し、平成22年1月1日から適用する。

土庄町用地事務取扱要領

平成11年10月1日 訓令第13号

(平成22年3月24日施行)